既にご存知の方も多いかもしれませんが、2010年4月1日から労働基準法(以下「労基法」という)が変わる。変更点はいくつかありますが、今回は「年次有給休暇の時間単位取得」に絞って解説します。


 <いま現在は…>

有給休暇を取得する場合は原則「1日」単位でしか取得することはできないことになっています。例外的に「半日単位」で与えることも可能ですが、あくまで「会社と労働者で納得して合意したら」というのが前提。労働者側から「午前中だけ…」とか「午後だけ…」という「半日」単位の請求があったとしても、会社は「半日」単位で与える必要はないとされています。

 【有給休暇の取得単位】

  原則:1日単位
  例外:会社と労働者が合意したら半日単位でも可能。



 <今回の改正の背景には…>

国としては有給休暇を丸々1日で取得して欲しいのに、なかなか有給休暇の取得率(平成20年度は47.7%)が上がらない。昨年度(平成19年度は46.6%)から見たら若干上がったが、それでも半分の50%に達していない状況。だから今まで認めていなかった「時間単位」の取得に踏み切ったのである。



 <しかし気をつけねばならない点も…>

時間単位取得ができるようになっても注意点がある。 制度の詳細解説は割愛させていただきますが、大まかにいうと次の3つ。

 (1)会社と過半数労働組合(組合がない場合、労働者の過半数代表者)と労使協定を締結すること。

 (2)時間単位取得できる日数は、最大で5日間を限度とすること。 例えば、20日の年次有給休暇の権利が発生している社員の場合は、20日のうち5日間だけ時間単位取得ができるということ。

 (3)時間単位になるので管理が煩雑になる可能性アリ。導入前によく給与計算事務などの担当者と話し合いをする必要がある。


厚生労働省のホームページに詳細解説がされているので、そちらをご覧ください。




 <でも視点を変えるとこの改正は…>

女性社員の多い職場ではメリットがあるのではないでしょうか。 働く女性の中には子育てと仕事を両立をしながらという方が少なくない。

子供が風邪を引いたり、ケガをして急遽学校に呼び出されるケースを想定し、年間5日まで子供の事情で年次有給休暇とは別に取得できる「子の看護休暇制度」というものがありますが、5日だとアッという間に終わってしまいます。さらに、会社によっては「子の看護休暇」を取得した日の給料が無給というところもあります。子供の用事ですと、場合によっては1日休むほどではないけど、1日のうち少しだけ使いたい!ということもありますよね。有給休暇を時間単位で取得できれば、女性社員にとっては、1日休むよりも気兼ねなく取得できるのではないかと思います。周りで共に働く社員達も、丸々1日休まれてしまうより、部分的に休んでもらった方が業務引継ぎ負担も減るでしょう。


特に女性が多い会社は、年次有給休暇を効果的に弾力的に運用(時間単位取得を導入)できることで、社員に優しい職場環境づくりの第一歩を踏み出すことができます。仕事と子育てが両立できずに退職する社員が出てしまう場合、社員本人にとっても残念なことですが、会社にとっても重要な戦力を失うことに繋がります。


改正スタートまで、あと半年。
メリットとデメリットをよく吟味した上で、時間単位取得の導入を考えてみてはいかがでしょうか?
2010.2.3追記
時間単位有給に関する私見を掲載しました。