---ここから毎日新聞社記事を引用---
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年末の失業者対策を検討している政府の「貧困・困窮者支援チーム」(事務局長・湯浅誠内閣府参与)は16日、解雇などで職を失い、雇用保険の支給が切れた状態で年末を迎える人が約23万人に上るとの推計を公表した。チームは対策の根幹として、ハローワークで職探しと一緒に住まいの確保や生活保護の相談などができるワンストップ・サービスを検討している。30日のサービス試行には、全18の政令市など69自治体が参加するという。
推計によると、解雇や雇い止めで職を失い、12月までに雇用保険の支給も切れる人は約39万人に上る。過去のデータでは、支給が終わってから1~2カ月以内に再就職できる人が4割ほどいることから、最大約23万人が仕事も給付もない状態で年末を迎えるという。チームのこの日の会議では、ワンストップ・サービスの準備状況も報告された。住宅に関しては利用可能な雇用促進住宅が3万7,088戸、公的賃貸住宅が4,291戸あるという。

---毎日新聞社記事引用はここまで---


実は数字に表れていない「隠れた失業者」も存在していることをご存知でしょうか。すべてとは言いませんが、現在、雇用調整助成金を受給している人達です。
雇用調整助成金は、事業経営の悪化から会社都合で休業をする際、会社は「休業手当(※)」を社員に支払わなければなりませんが、解雇者が出て失業者が増えないよう雇用維持をする会社に対し、この支払った額の一定額を雇用保険財源から補填する制度です。この受給人口が約200万人程度いると推計されており、いわゆる「企業内失業者」といわれている人達です。この人達も合わせれば、失業率は8~9%、つまりアメリカ並みの失業率になるのではないかとも言われている訳です。

失業対策の一環で、失業保険をもらう要件が緩和されたことに始まり、失業保険制度も雇用調整助成金も、どちらも「雇用保険」という財源で賄われていますので、財源は枯渇しています。09年度の保険収支はナント約8,000億円の赤字になる見込みです。これを踏まえて厚生労働省では、2010年度の雇用保険率を7年ぶりで引き上げる(現行の0.8%→1.2%)方向で動いています。

■社員の負担(月額給与200,000円の場合)
 現行:200,000×0.4%=800円
 引き上げ後:200,000×0.6%=1,200円
 →月額約400円のアップになる可能性あり?

セーフティーネットとして、現にこの制度で救われている人達もいる訳ですから、社会保障制度である以上、いまの経済・雇用情勢下では引き上げはやむを得ないといった感じがあります。

しかし、不況という問題だけではなく、雇用というあり方がここまで変化してくると、雇用形態そのものも様々であるため、今の雇用保険制度を大きく見直さなければならない時期なのではないか?と切実に思います。制度そのものが、現実と乖離してしまっているような気がしてなりません。
今回のニュースのように、特例的に救済をすることも大切なのですが、これで問題が済むと、また今まで通りの制度を運用していくのでは真の解決には繋がらないと思います。

失業率の高い業種もある中で、

料率は一律で良いのか?
現行制度は業種により最大3つにしか区分されていません。

基準はこれで良いのか?
現行は、6ヶ月以上の雇用見込み+週20時間以上の就労によって初めて雇用保険に加入できます。

派遣・有期雇用社員などの非正規雇用社員への対応は?
別枠で財源を確保して保険料を高くする代わりに、給付を手厚くするとかしても良いのでは?(不正受給も増えると思うのでその対策は考えないといけないと思いますが)


なぜこのようなことを言うかというと、今回のような特例的な取り扱いは、これを実施する地域では良いのですが、地方都市となると、こうした取り扱いをしている地域とそうでない地域とにわかれてしまいます。ここにムラが生まれてしまうのですね。社会保障制度でありながら、全国一律のサービス提供に繋がっていない。

話題が少し逸れてしまいますが、「生活保護制度」についてもこれと同じようなことが言えると思います。同じようなケースの人であっても、都心部では認定で保護され、地方都市では厳しい審査ラインが設けられているがために、都心で認定されているよりも厳しい生活状況の人が保護されていない・・・本来保護されるべき人達が保護されていない現実があります。以前、関西方面で生活保護認定がされなくなったために餓死してしまったニュースも記憶に新しいと思います。都心部と地方都市での物価の違い、人口の違いによる都市の税収等の問題もありますが、それを加味してもおかしなところがあります。

今回の特例的な対策(取り扱い)がそうでないことが望まれますし、雇用保険の給付体系をはじめとする制度そのものの根幹からの小手先ではない見直しを、今だからこそすべきでだと思います。



(※)休業手当とは?
原則として、休業を開始する直近3ヶ月の給与総額を暦日数で割ったもの=平均賃金といいます。労働基準法では、会社都合で休業をする場合、社員に対し平均賃金の最低60%は保障しなければならないことになっています。