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タグ:過労死


平成22年度における労働基準監督署の調査によって、残業代不払いが123億円であることが発表されました。

平成22年度に監督指導により支払われた割増賃金の合計額は約123億円(厚生労働省)


指導された企業数・支払総額のいずれも前年度よりも上昇傾向にあることがわかります。

‐‐‐以下は厚生労働省のサイトから抜粋‐‐‐

《是正企業数》1,386企業(前年度比165企業の増)
《支払われた割増賃金合計額》123億2,358万円 (同7億2,060万円の増)
《対象労働者数》11万5,231人(同3,342人の増)
◆支払われた割増賃金の平均額は1企業当たり889万円、労働者1人当たり11万円
◆割増賃金を1,000万円以上支払ったのは200企業で全体の14.4%、その合計額は88億5,305万円で全体の71.8%
◆1企業での最高支払額は「3億9,409万円」(旅館業)、次いで「3億8,546万円」(卸売業)、「3億5,700万円」(電気通信工事業)の順

‐‐‐抜粋はここまで‐‐‐


不払い問題の発覚は、今回のような労働基準監督署による調査で不払いが発覚するケースと、退職した社員が退職後に請求してくるケースと、大きく分けて2つある訳ですが、いずれの場合も、請求額は高額になる可能性が高く、会社側として考えたときはリスクでしかない訳です。

こうした事実(問題)が発生した際は、当たり前ですが、業績が良かろうと悪かろうと、支払いをしなければならない訳で、中小企業にとっては経営を揺るがすものでもあります。


ただ、こうした賃金不払い問題について、

不払いがないように残業した時間分を全額支払っておけば良い!

という簡単なものではありません。

色々なところで取り上げられているのでご存知の方も多いと思いますが、長時間労働の延長線上にある「過労死」や「精神疾患」の問題です。


記憶に新しいところでは、急性アルコール中毒で死亡した原因は、長時間残業からうつ病を発症したことが原因であることが認定され、会社側に6,000万円の損害賠償命令がおりた2011年3月の判決です(東京地裁判決)。

会社側は100%残業代の支払いをしており、また死亡原因も、勤務時間外にアルコールの過度摂取によるものとして、法的責任はないと主張をしていましたが、結果として責任を問われたものです。

詳細はこちらをご覧ください。
急性アル中死「過労原因」勤務先に6千万円賠償命令(47ニュース)


特に中小企業の場合、損害賠償額によって一気に経営が傾くことへ繋がります。
これだけではありません。
企業イメージの悪化、採用しても人が来ない・・・人材確保が困難になる・・・負の循環が始まってしまいます。

・1ヶ月あたりの時間外労働の限度基準は、45時間。

残業はどんなに増えてもこれを超えない企業努力が求められます。
でなければ、この判決のように「安全配慮義務違反」による責任を問われてしまうことになります。



残業時間を減らすことは、今回の調査結果のような不払いの実態を生まず、過労死や精神疾患の問題もなくなることに繋がります。

今回の賃金不払い残業是正結果を踏まえ、

貴社の職場環境はオーバーワークではないか?

検証されることを強くお勧めいたします。


《参考》
賃金不払い残業解消指針(静岡労働局)

過労死で労災認定を受けた企業の公表を求め提訴に至りました。

---ここから毎日新聞社記事を引用---
記事本文はこちら

過労死や過労による病気で従業員が労災認定を受けた企業名を大阪労働局が公開しなかったのは違法として、夫(当時49歳)を過労自殺で亡くした京都市伏見区のAさん(60)が18日、開示を求める訴えを大阪地裁に起こした。原告弁護団によると「過労死」を起こした企業名の公表を求める訴訟は全国で初めて。

訴状によると、Aさんは3月、02年度以降に従業員が過労で死亡したり病気になり、労災認定を受けた企業名を情報公開請求。しかし「個人の特定につながる」として開示されなかった。

Aさん側は「個人特定の危険性はなく、情報公開法に違反する。労災認定が職場環境改善につながっておらず、再発防止には企業名を公表し監視する必要がある」と訴える。

Aさんの夫は飲食店店長だったが96年、飛び降り自殺し過労が原因として労災認定を受けた。Aさんは提訴後「労働者の命よりも企業の利益を守っている。企業名の公表は(労働者が)会社を選ぶ情報になる」とコメントした。

また過労死や過労自殺の遺族らでつくる「全国過労死を考える家族の会」と過労死弁護団全国連絡会議は18日、長妻昭厚生労働相に精神障害になったり自殺した場合の労災認定基準の見直しや、過労死・過労自殺を出した企業名の公表を求めた。

---毎日新聞記事引用はここまで---

昨年の10月に「過労死どう防ぐ」というテーマで日経産業新聞でコメントさせていただきましたが、過労死や過労により重篤な障害を負うケースが出てしまうと、会社は多額の損害賠償(民事上)を支払うことになり、まず金銭面で大きな損失を被ることになります。

関連エントリー記事>
長期研修のストレスを原因として過労死の労災認定

また、会社に与えるイメージは相当なもので、いわゆる即「ブラック企業」へ名を連ねることになりかねません。そうなれば、良い人材は間違いなく来なくなる。会社に在籍する「社員(=人)」こそが、今後の会社発展にはますます重要となるであろうこの時代に、戦力となる「優秀な人材」が来なくなればその行く末は見えています。場合によっては、即一発倒産に繋がるということを経営者の方々は認識しておかねばならない時代であると思います。

過労死という言葉は近年になってできた言葉で、日本が発祥の地です。つまり勤勉実直な日本人ですから、過労死という問題は諸外国では起きていない日本特有のものなのです。しかしながら、言葉が存在する以前からこうした問題は起きていたと推測します。60年、70年代は突然死というものは存在していました。泣き寝入りに終わっていた人達も当然いて、決して今に始まったことではないと私は思っています。

流れが変わってきたのは、2001年の労災認定基準が見直されて以降ではないでしょうか。基準の見直しによって、過労死認定がされやすくなってきています。昔は埋もれてしまっていたこうした問題が、ようやく表に出て問題視されるようになってきた訳です。この背景には、情報社会による情報スピードや情報量が影響し、労働者側も知識を得やすくなった=成熟してきていることにあります。そのため、過労死絡み・精神疾患関係と労災認定の結びつきは今後も加速していくことになるでしょう。

こうした報道は、なかなか身近な問題として捉えにくいところがあります。うちに限っては大丈夫だろう・・・こうした意識がとても危険です。社員の命に関わる問題だけに、大切な家族に万が一のことがあれば・・・常識で考えて、前述したような知識も備わっていれば誰でも訴え出ることになるでしょう。極論ですが、明日は我が身・・・ぐらいの危機感を持って経営された方が職場の問題点を洗い出す目を持つことに繋がると思うのです。

過労死問題は起きてからではもはや手遅れです。事前対策こそが大切なのです。

時間外労働はどうなっているでしょう・・・月45時間を超えた残業が発生していませんか?職場における人間関係はどうでしょう・・・上司・部下の関係は?職場の風通しは良いですか?まずは、明日から再度把握してみませんか?その行動こそが、トラブルから会社を守る第一歩です。

それは、社員のためであり、会社のためでもあります。

長時間残業が、休日出勤が、漫然と当たり前のように行われている会社は、まさにいま今後の対応が求められています。

長時間労働が存在しなくても、長期間の研修によって生じたストレスが「業務との因果関係がある」として、札幌地裁で過労死労災認定がされました。長時間労働が不存在でありながら、労災認定されたのは今回が初めてです。


‐‐‐ここから毎日新聞社記事を引用‐‐‐
記事本文はこちら

北海道旭川市に住むNTT東日本の男性社員(当時58歳)が急性心不全で死亡したのは「業務変更に伴う長期研修によるストレスが原因」として、遺族が旭川労働基準監督署に対し、労災申請却下の取り消しを求めた行政訴訟の判決が12日、札幌地裁であった。橋詰均裁判長は死亡と業務の因果関係があるとして労災を認め、同労基署に却下処分の取り消しを命じた。遺族側代理人の弁護団によると、残業や長時間労働のないケースで裁判所が労災と判断したのは全国初という。

判決によると、亡くなったのはAさん。Aさんは心臓疾患を抱えていたが、01年4月、会社側から早期退職か業務変更を求められた。業務変更を選んだAさんは02年4月から札幌市や東京都で新業務に必要な技能習得のための研修に参加していたが、同年6月9日に死亡した。

判決で橋詰裁判長は「研修中は時間外労働がなく、労働時間の点で大きな負荷はなかった」としながらも、「日程や実施場所によって心臓疾患を増悪させ、急性心不全が発症した。研修参加、異動の不安が肉体的、精神的ストレスとなった」と判断した。

遺族は03年2月、同社に対し、約7,200万円の損害賠償などを求めて提訴。会社側に約1,660万円の支払いを命じた札幌高裁判決(09年1月)が確定している。

‐‐‐毎日新聞社記事引用はここまで‐‐‐




一般的に過労死と労災認定されるには「残業時間」を判断基準の主要素と捉えられてきました。

業務災害の労災認定されるための判断要素が

(1)業務遂行性・・・前提として会社の管理下で仕事をしているということ。
(2)業務起因性・・・その仕事をしていたから災害が発生した(その仕事をしていなければ災害は発生しなかった)ということ。

の2つをスタートに考えるためです。

仕事中のケガなどは、実際にその場で起きることなので認定判断がしやすいのに対して、過労死や精神疾患については、ケガなどのように、その場でいきなり起こる訳ではなく、一定の期間を経て徐々に症状が出始めたり、実は業務とは関係なく、プライベートが原因で、たまたま発症(突然倒れるなど)したのが就業時間中だったというケースもあるので、非常に認定判断が難しいとされています。しかし、一定の判断基準は設けておかないと、何でもかんでも・・・という事態になってしまうため、前述したような(1)(2)を判断するにあたって、「労働時間の長さ」という、誰しも共通のものさし(単位)と「過労死」は結び付けられて考えられてきました。


これについては、平成18年改正の労働安全衛生法において、月100時間を超える時間外労働をして、疲労の蓄積が認められる場合には医師による面接指導を受けさせるという義務規定が作られました(80時間~100時間の間であっても努力規定)。

厚生労働省における過労死基準についても、健康障害発症のリスクは、長時間労働と深く関わりがあることが医学的な見地からも証明されているとして、発症前16ヶ月平均で、月あたり45時間の時間外労働(残業)を超えると健康障害発症率が高くなるとしています。発症前1ヶ月に100時間ないしは、26ヶ月の平均で80時間を超える時間外労働(残業)を行った場合は、かなり強い確率で健康障害を引き起こす可能性があるものとして取扱われています。

この時間外労働の存在の有無にプラスして「勤務形態・作業環境・精神的緊張」があったかどうか?が加味されて過労死に係る労災認定の総合判断がなされてきた経緯があります。

ただ、これにも賛否両論があって、過労死等の判断要素の主を「労働時間の長短」としていることは偏り過ぎていないか?労働時間の長さだけで過労死認定の可否が決められているところがある!という反発の意見もあった訳です。

今回の札幌地裁の判決はまさにこうした声をくみ上げて判断したと考えられる可能性があります。なぜなら、残業もなく定時で帰れていた訳なので、これまでの「労働時間の長さ」を判断要素として考えれば過労死には当たりません。現に、旭川労働基準監督署は労災の不支給決定を下しています。これを覆し、「労働時間における大きな負荷はない」と明言しておきながら、どちらかというと今まで、長時間残業の存在を確認した後の総合判断で要素とされてきた「勤務形態・作業環境・精神的緊張」の方を前に押し出して(研修・異動の不安という点)労災認定を認めた訳です。
 
引用文中にもあるように、長時間労働が存在しないのに労災認定をしたのは初めてのケースです。地裁レベルですが、この判決は1つの判断とされて今後の労働基準監督署における現場事務や裁判に影響を及ぼすのではないかと思います。

労災認定がされると、会社の民事上の損害賠償の問題も出てきます。今回は1,660万円で判決確定がしたようですが、中小企業にとっては、経営を揺るがす大変大きな損害賠償額です。労務リスクによる一発倒産もありえます。事業経営上、社員の配置転換や異動は想定される範囲のことですが、時期や方法を誤るとこうしたケースに陥る可能性があります。

持病を抱えている社員であったり、異動場所が現在とは異なる新天地であったり、その時期がタイトであったりと、社員の置かれている環境が急激に変わってしまうような場合は、アフターフォローを怠らない労務管理が望まれます。

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