‐‐‐以下「産経新聞」より引用‐‐‐

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顔などに著しい傷が残った際の労災補償で、男性より女性に高い障害等級を認めているのは違憲として、京都府内の男性(35)が国に障害補償給付処分の取り消しを求めた訴訟の判決が27日、京都地裁であった。瀧華聡之裁判長は「合理的な理由なく性別による差別的扱いをしており、憲法14条に違反する」として原告側の主張おおむねを認め、国に同処分の取り消しを命じた。原告側代理人によると、労災補償の障害等級の違憲性が認められたのは全国初という。

判決理由で、瀧華裁判長は訴えの対象になっている障害等級の男女の差について「著しい外見の障害についてだけ、男女の性別で大きな差が設けられていることは不合理」と指摘。「法の下の男女平等」を定めた憲法14条に違反していると認めた。


‐‐‐引用記事はココまで‐‐‐



以前からこの取り扱いには少し違和感を持っていました。

業務災害によって「顔」に怪我を負った結果、その顔に傷などが残ってしまった場合の障害補償給付の取り扱いが、男女間で違うというのは、社労士受験生向けの内容だったり、企業における労災保険制度関係の講演などで私はよくお話をさせていただきます。大体、「え~!何で~!?」と興味を持っていただき、盛り上がる場だったりします。


労災保険の障害補償給付は、第1級~第14級という14段階で区分されています。

このうち、第1級~第7級までは年金支給。つまり、障害状態に該当する限りは年金が支払われ続けます。

一方、第8級~第14級までは一時金支給。つまり、文字通り1回お金が支給されてしまったらそれで終わりということです(下表参照)。

ちなみに、一時金に該当する第8級~第14級は、障害を負ってはいるものの社会復帰できたり、障害状態にあることがパッと見たところではわかりづらいものが該当します。

と大雑把ですが、このようにわかれている中で、同じ程度の顔の火傷による傷であっても、

 女性の場合は年金支給(今回のケースでは第5級に該当)

 男性の場合は一時金支給(今回の男性Aさんは第11級と認定された)


この等級差は補償額にダイレクトに反映されます。

年金

等級

支給額

日額10,000円
とした場合の補償額

第1級

給付基礎日額×313日

313万円

第2級

給付基礎日額×277日

277万円

第3級

給付基礎日額×245日

245万円

第4級

給付基礎日額×213日

213万円

第5級

給付基礎日額×184日

184万円

第6級

給付基礎日額×156日

156万円

第7級

給付基礎日額×131日

131万円


一時金

等級

支給額

日額10,000円
とした場合の補償額

第8級

給付基礎日額×503日

503万円

第9級

給付基礎日額×391日

391万円

第10級

給付基礎日額×302日

302万円

第11級

給付基礎日額×223日

223万円

第12級

給付基礎日額×156日

156万円

第13級

給付基礎日額×101日

101万円

第14級

給付基礎日額×56日

56万円


これは「女性は顔が命」という言葉が存在するように、顔に気を遣う女性は男性よりも多く存在しているし、もし傷が残った場合の精神的なショックは、男性よりも上回る・・・という一般的な常識論が根拠となっているようですが、確かにこれは男女差別といわれても仕方ない取り扱いではないかと思います。

今は、男性でも女性と同じように顔を気遣い手入れをする人がいます(逆に女性でも、まったく気を遣わずに全然…という人もいますが…汗)。男性のエステも存在するほどですもんね。

当然、男性が女性と同程度あるいはそれ以上のショックを受ける人がいるということが考えられるでしょう。顔に傷が残り、それを受け入れる悲しみ・痛み・ショックの度合いは、男であれ女であれ辛いものです。一律に男はこう!女はこう!と画一的に区切ること自体がおかしいのではないでしょうか。

今回、初めて労災認定の際の障害等級の取り扱いが憲法14条の平等原則に違憲であるという判決が出された訳ですが、色々な意味で価値観や物の考え方が多様化してきている世の中なので、労災認定におけるこの男女差の取り扱い自体が時代にそぐわないものになってきていることは確かです。

私は、今後の労災の障害認定の有り方を考えていくうえで一石を投じる意義ある良い判決だったと思います。